学部ゼミの概要―死生心理学研究室(川島ゼミ)での学び方


 ゼミでは、自ら問いを発し、それを鍛えていくことを目指しています。

具体的には、個人発表、演習、ワークの3 部から構成しています。

 

(1)個人発表

 個人発表の時間には、各自の研究テーマについてじっくり検討していきます。とくに研究テーマの鍵となる言葉(キーワード)をそれぞれの問いから探していくプロセスを大事にしています。

 

(2)演習

 演習の時間には、問いを鍛えていくための道具となる方法論を学びます。とくにフィールドワークやインタビューといった質的研究法のプロセスを演習形式で学ぶことが核となります。すなわち現場へ赴き、インタビューなどを通じてデータを収集し、それを質的に分析し、まとめ、報告するまでのプロセスです。同時に、観察法や質問紙法などの他の研究方法についても、演習や文献講読の時間を通じて、学んでいきます。

 なお、質的研究者の研究姿勢として、ブリコルール(よろず屋)という言葉があります。研究目的に照らして、最適な研究手法を選択する姿勢を指したものです。本ゼミでも、研究目的に照らして最適な手法を選択できるよう、発達心理学領域における多様な研究方法の基礎知識を習得していただきます。

 

(3)ワーク

 ワークの時間には、死生や生涯発達に関わる体験的なワーク及びディスカッション等を通じて、他者と対話する力を養います。

 また名古屋市自殺対策の一環で行われている子ども・若者向けの自殺予防イベントに参加したり、他の行政・NPO法人などと共同して実践活動を行っています。活動の様子はこちらから。


ゼミ生になる方に期待すること


 大学は、勉強よりも学問を探求する場所です。

 つまり強いて勉めることよりも、自ら問いを発し、学ぶ姿勢が求められます。とくにゼミでの学びの中核になる質的研究という方法論では、自らの問いを省察するプロセスがきわめて重要です。受け身の姿勢、教えてもらうだけの姿勢では問いを探求することは難しいでしょう。積極的に自分の問いを追求していく熱意が大切です。

 

 また質的研究では、自分自身を研究の道具として活用していこうとします。そのためにも、これまで自明のことと位置づけていた事柄を省察する思考の柔軟性が問われます。とはいえ、何の手だてもないまま省察を行うことは困難です。そこで本ゼミでは、演習や文献講読、個人発表の3 つの柱それぞれにおいて、他者との対話を重視します。具体的には、自分の考えを積極的に言葉にし、伝えていこうとすることと同時に、他者の考えに耳を傾け、理解しようとする姿勢が強く求められます。また他者とは必ずしも身体性を伴ったものとは限りません。先行研究などにおける先人の言葉に触れ、それと対話を行うことも極めて重要です。